疾走、チームバチスタの栄光

疾走 上 (角川文庫) [ 重松 清 ][rakuten:book:12549004:image:small][rakuten:book:12549005:image:small]

「初めての重松清」でなぜ疾走を選んだのかまったく自分でもわからない・・なんでだろう・・・。

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。

少年の苦労・・・!と思いながら読んでみたら、想像以上の苦難っぷりにうろたえました。落ち込むけど、「読むのがしんどい」というわけではなかった事が不思議。主人公の子の行き着くところを読んでおきたかったからかもしれない。私は走ることが凄く苦手で遅くて、早く走ることに本当に憧れてたので、彼が「もっと早く、もっと早く」と走る描写はすごく惹かれた。ひとり、とか、つながり、とか、そういうことを口にすると簡単に口から出てきてびっくりするのであまり好きじゃないのだけど、もう本当に圧倒的な孤独で、辛かった。印象に残る本だけれど、たぶん読み返せない。

「度重なる手術直後の死亡の原因は事故なのか、事件なのか」その点すらぼんやりとしていて、「事故なの1?事件なの!?」と気になるうちにさっくさくに読めてしまう。ここ最近の中でもダントツの読みやすさ・・・。このまま謎は解けないままかと思った矢先に変人が登場したので噴いた。奥田英朗の描いてる伊良部先生みたいな印象だったけど、ベクトルの違う変人っぷりだった。面白かったけど、何度も読み返したり、シリーズ読み続けたい!というところまではいかなかったです・・・。あと分冊にする必要のない量だと思うので、宝島さんは搾取控えて欲しいな・・・!とか思ったりもしました。