口をつぐむことが、時には必要である

今日は死ぬかと思うくらい寒かったですね。個人的には6回くらい死んだと思います。そのくらい外は寒くてもお店の中は暖房がガンガンです。そんなわけで今日一番困ったこととしては、いらっしゃったお客さんの左の鼻の穴から気持ちのいいくらいストレートに輝く道ができていたことであり、身近な人にはズバリと言っちゃう私としては思わず「おはながたれてますよ」て飛び出そうだった言葉をグッとのみこみ、「いやまて、激昂する可能性も捨てがたい」「しかしこのままでは輝く道を伸ばしたまま店内を歩くことに」「何かうまい言い方はないだろうか」「さりげなく外と内との温度差を話題にしたらどうだろうか」「逆に遠まわしすぎてやはり激昂か」「わからない・・・わからないよぅ!胸が苦しいの・・・こんな気持ち、はじめてだよ・・・」みたいなとても知性溢れる脳内会議をしつつも一心に道の行く先を見つめていたら、お客さんはそっとご自分のカバンから青いタオルを取り出し、そっと輝く道をぬぐいました。
その瞬間、「目で通じた!私の心が言葉にしなくとも通じたんだ!」と、とても感激しました。私がサトラレになった瞬間でした。

ひなぎく

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雰囲気の好みでいうと私の中でトップのお店です。荻窪にあります。静かなのだけど、たまに側を通る電車の音が聞こえるときがあって、それをすごく気にいってます。ご飯とソフトドリンクでメニューは1枚だけど、他のアルコールのメニューは3枚くらいあります。飲んだことないのですが、アルコール推しみたいです。ビールの種類がいろいろあった。鳥の置物は私の座った席の前にちょこんといたのがかわいかったので。ギャラリーもかねているのでポストカードや本などもそこここに置いてあります。
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ちょっと食べちゃったけど、杏とココナッツのチーズケーキと、温かいチャイ。ここのチャイはスパイスがガツンと効いてて大人の味だったよ・・・。サイズはちょっと小ぶりな印象だけど、ぎゅっと味が濃くて美味しかった。心地がいいので集中して本が読める。

ひなぎく
東京都杉並区上荻1-10-3-2F
03-5397-2223

夢の守り人、探偵ガリレオ、悪夢のエレベーター

夢の守り人 (新潮文庫) 探偵ガリレオ (文春文庫) 悪夢のエレベーター (幻冬舎文庫)

発売をすごく楽しみにしてた本。守り人シリーズ3作目の文庫化。この本は主人公の幼馴染に焦点をあてられててどちらかというと主人公は終盤での活躍だけど、それぞれがそれぞれを助けようと無茶をする部分は非常にグッときました。ベタベタとした表現やセリフがないのにあったかくて和む。前2作に比べるとちょっとイメージしづらい細やかな設定があるけど、「読んで良かった!」と本当に思いました。まだまだ次があるのかと思うと嬉しい!

今まで微塵も根拠なく「絶対合わない・・・」と思って敬遠してた東野さんなんですけど、連作で読みやすいかなと思ったのでお風呂の中でちょっとずつ読みました。解説を佐野史郎が書いてて、東野さんは探偵ガリレオは佐野さんをイメージしたらしいとのことですが、私は湯浅さんでした。国際弁護士の。たぶん私のとてもシンプルな細胞が「湯」の字と「変わり者」で連想した結果飛び出たのが湯浅さんだったんだと思います。イメージして書かれただけあって佐野さんもしっくりくるので私の中でガリレオは2パターンになりました。ドラマのガリレオさんはイケメンすぎる気がします。あんなイケメンで助教授でスポーツ万能とかあったら世の中を呪いたくなる。

話が進むにつれて次々と「本当はこんな事情がありまして」ということが露呈してきて「え、マジで?」と何回も思いました。最初は自分のすぐ近くしか見えてなかったものが、モヤがどんどん晴れていって全体が見渡せるようになっていくような、そんな感覚。でもそのモヤの晴らし方がすごくうまいな、と思いました。会話でのやり取りが多くてテンポがいいです。作者さんは劇団を主宰してるとあるので「ああ、そういえば一つの舞台を見てるみたいな感じだったな」と納得しました。登場人物も個性豊かで印象がそれぞれ強い。するすると読めちゃうので軽快すぎる余韻もあるけど手に取りやすいと思いました。