プラネタリウムのふたご、魔王、天使の囀り

プラネタリウムのふたご (講談社文庫) [ いしい しんじ ] 魔王 (講談社文庫) [ 伊坂 幸太郎 ] 天使の囀り (角川ホラー文庫) [ 貴志 祐介 ]

悪い意味じゃなくて、常に詩的でどこか郷愁さがあってでも愛嬌もあって・・・っていういしいさんの文才っぷりに、いつも「ちくしょうまんまと転がされたりしないぞ!」てなるんだけど、最終的に「いいな・・・これ・・・」ていうよくわからないツンデレ感想になってしまう。麦ふみクーツェもこの作品も、誰かが亡くなるので、亡くなるというとこすら演出のように思えてならないのだけど、その上で「うまいなあ」と思うし、シーンは思い描けるし、隙のない話の展開っぷりに驚くし、何だかんだいってたぶんいしいさんが好きなんだと思う・・・(何それ)でもいしいさんの本を読むときは気力が必要。「ひとりは手品師に、ひとりは星の語り部に」なんて帯を見たら読みたくなるじゃん・・・!!!最終的に双子どうなっちゃうの!て思うじゃん!!

どうも、伊坂さんの本を読みすぎた感じがする。少々食傷気味になってきていたのかな・・・。あと個人的に面白いくらい政治が絡んだ話に興味がもてなかったことものめりこめなかった理由の一つだと思う・・・。話も終わり方も思い出せるくらい印象はあったはずなのだけど、もう一度読み直したい!という気にはなれなさそう。無念。

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?

お薦めされているのを見かけて読んだのだけど、そもそも貴志さんは「青の炎」がすごく好きで、次に「硝子のハンマー」を読んでテンション下がっちゃって、それ以来読んでなかったっていう・・・。設定が濃厚で綿密で、闇が濃い分何となく主人公の存在感が薄い気がしたけど、何しろだんだん輪郭がはっきりとしていく過程にどきどきとして危うく一気に読んでしまいそうになるのを惜しみながら読みました。あんなにも死を恐れていた恋人が自殺したのはなぜか、次々と報告される奇妙すぎる自殺の関連性はあるのか、同じ頃活発になりはじめたある集まりの内実とはどんなものかとか、「興味が途切れない」という点に関してはかなり素晴らしい話の進み方でした。「読んだなー!」っていう満足感があった。