流星の絆、マークスの山

流星の絆 [ 東野 圭吾 ] マークスの山(上) (講談社文庫) [ 高村薫 ]マークスの山(下) (講談社文庫) [ 高村薫 ] ネクロポリス(上) (朝日文庫) [ 恩田陸 ]ネクロポリス(下) (朝日文庫) [ 恩田陸 ] [rakuten:book:13015570:image:small]

単行本、なかなかの厚みだなーと思ったけど、ずばばばばと一気に読んでしまった。東野さんはまだたくさん読んでないけれど、読んでるときにシーンを思い浮かべやすい。描写が丁寧なんだなと思う。人物の設定やお店の内装とか、イメージしながら読むことが出来るので、読み終わってもどんな話だったのか思い出せる。両親が殺されて子どもたちだけが取り残されて、お兄ちゃんは下の2人を何とか守ろうとする心情に入れ込みすぎて危うく涙腺が決壊しそうになりました・・・。正直言うと「犯人は誰なんだろう!」というよりも「この兄弟たちに何とか幸せを・・・」て気持ちで読んでました。

ずっと読もう読もうと思ってなかなか手が出せなかった。文庫上下を読み終わった後にかなりの加筆修正があり、単行本と終わり方がだいぶ違うと知って愕然としたよーー。しかも単行本の方がいいらしいっていう。読み応えはあるのだけど、どうしてもマークスと山を繋いでる部分を障害ていうとこでまとめちゃってるのが薄い気がして「マークスの山」というより「マークスと山の話」みたいな印象でした。あとあの終わり方はしょんぼりしたので単行本を探して読み直したい!

最近読んだ恩田さん本の中では、かなり細かく文化、人物、風習、舞台の設定がされてる印象。イギリスと日本の文化が折衷された風習についてが軸だから、まず最初にその設定を頭に懸命に描く。

懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が―めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。

盛り盛りだよ・・・!!!久しぶりの長編だし、内容も面白い。様々な疑問をポイポイ投げかけてくるけれど、「巷を騒がせてる連続殺人の被害者の話が聞けるかもしれない→犯人がわかるかも!」みたいな期待を寄せてくるお祭りと噂と話好きの来訪者たち。「毎年行われてるけれどこんな異常事態ははじめてだ」と言われるくらいの異変が大波みたいにやってきてとても読み応えがある。けれど、最近、読み終わるたびに思うのだけど、どうも終わりが尻すぼみすぎる。最後の方まではぐいぐい読めただけにちょっと残念だった・・・。でもなかなか濃くて良かったです。恩田さんは設定が丁寧だから、いいな。

この男は人殺しです―。仮釈放となった中道隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ。いったい誰が何の目的で?孤独な犯人探しを始めた隆太の前に立ちはだかる“障壁”とは?“罪と罰”を問うサスペンス巨編。

サスペンス・・・サスペンスというよりも犯罪者心理に寄りすぎていて若干モヤモヤする。乱暴な言い方をすると、教科書みたいな印象でした。違うんだ・・・心情をぶつけてきているのはよくわかるんだ・・・。更生を決意する主人公と片や自分に見切りをつけてしまって同じ過ちを繰り返した人。「万人が更生するわけじゃないけれど、それでも」という空気がだだ漏れててどうしても真っ白な気持ちで読めなかった・・・。