麦ふみクーツェ、誰か、動悸、奪取

麦ふみクーツェ (新潮文庫) 誰か―Somebody (文春文庫) 動機 (文春文庫) 奪取(上) (講談社文庫)

「これはきっと好きだと思うよ」と何人かに言われ天邪鬼なので「屈服してなるものか・・・!」と挑んでみましたが、好みでした。認めざるをえない・・・。絵がないけど絵本っぽい。少し非現実的で、少しあざとくて、郷愁のようなものも湧いてくる。じんわりとするような余韻。文章がうまいなぁって思う。細やかにエピソードがわけられているのだけど、後々になってそのエピソードが繋がっていく様子も楽しい。素数にとりつかれたお父さんとかあらゆるニュースをスクラップしている用務員のおじさんとかある理由があって娼館に通うチェロの先生とか、出てくる人物がいちいち可愛らしく、にこにこしてしまう。他のも読んでみようと思った。

最後の展開が「うーん」という感じだったので。ある一つの事件の全貌が徐々に明らかになるだけでなく、もう少しぐっと深く踏み込むような話になっていく部分は「おお・・・」と思った。ただその踏み込んだ部分が悲しいもので、それだけにあの最後の方が何というか後味が悪いというか。でもやっぱり単に好みの問題かもしれないなぁ・・・。

初めての横山秀夫で、なぜか短編集から。でも今長いものが読みたかったみたいで少し物足りない感じに。「逆転の夏」が一番良かった。短編であんな風に疑問点を回収しつつ意外な展開も見せることが出来るなんて・・・!て思いました。長いの読んでみたい。

凄い面白かった!!好みな作風。シリアスな部分も笑ってしまうような描写もあって飽きない。話はどんどんでっかく、やることもでっかく、目まぐるしい展開で次はどうなるんだろう、最終的にどうなるんだろうって気になって仕方がない。逃亡、抗争、駆け引き、偽名、とかもうごちゃ混ぜだけど痛快。本格的というよりエンターテイメントよりなので、本格的なものが好きな人は読みづらいかもしれないのかなとか。相手がお札を数える瞬間がほんとにドキドキした。内容はすっごい面白いのだけど、最後のオチはいらないなぁ・・・。「えー?」て思ってしまった。