グラスホッパー、麦の海に沈む果実、太陽の塔

グラスホッパー (角川文庫)麦の海に沈む果実 (講談社文庫)太陽の塔 (新潮文庫)

怒涛の展開や、衝撃的な事実とかはないけれど、ジワジワと滲んでくるようなずっしりとした印象。派手じゃない。主だった人物が数人いるけれど、読みやすさや際立った人物設定はやっぱり安定してる。チルドレンより好みだった。一気に読むタイプじゃないけれど、途中で止めることもできないような不思議な引力があった。

再読。紅い本シリーズでは一番好きかもしれない。「孤立した学園の中で次々と明かされる真実」とか超ときめくよね・・・。学園で過ごす少年や少女の危うさとか感情の起伏とかすごく良かった。やっぱりちょっと耽美っぽいとこはあるけど、内容に似合ってる気がした。最後の展開にはちょっと驚いた。

男だらけの世界で生きることを決心した男性の心境がどんなものなのか、残念ながら私にはわからないけれど、この「恋だの愛だのなんてむしろナンセンスなのだよ」っていう温度の言い回しや行動や発想とかを、最初から最後まで貫き通してる文章力に感服しました。太陽の塔を見たことがあったら、もっと違う印象を受けたりしたのかなぁと思った。