チルドレン、真夜中のマーチ、精霊探偵

チルドレン (講談社文庫)真夜中のマーチ (集英社文庫)精霊探偵 (新潮文庫)

「短編小説のふりをした長編小説」という言い回しに「なるほどー」と思いました。個性的すぎる主要人物である陣内が全篇通して出てくるけど、「父親に対する憎悪」なんていうどこか人間臭いところもあって、単なる奇天烈キャラじゃないところが印象的。表題作と、その2が好き。

全然タイプの違うダメな男2人と美女が組んでよろしくないルートで集められたお金をかっさらおうっていう、テーマはありそうなタイプだけど、展開がありそうでなかったもの。ドリカム状態なのにカップルがうまれないとか逆に微笑ましい。案外と目まぐるしく場面が変わったりするけれど置いてけぼり感がなくて爽快。なんかもうキラキラしてた。

「スピリチュアル・ミステリー」て書いてあって「どんなジャンルだそれ」て思ったんだけど、どう考えてもSFです・・・!!梶尾さんのSFは大好き。だっておかしい。これだって「事故にあったあとになぜか人の背後霊が見えるようになった」主人公が「失踪した妻を捜して欲しい」ていう依頼でもっさりと調べてたらそのうち世間を脅かす巨大なのっとり作戦の存在を知っちゃったっていう。波乱万丈っぷりが清々しすぎる。一番最後の部分はちょっといらないような気もするけど、面白かったです。