家守綺譚

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)

これは、つい百年前の物語。庭・池・電燈つき二階屋と、文明の進歩とやらに棹さしかねてる「私」と、狐狸竹の花仔竜小鬼桜鬼人魚等等、四季折々の天地自然の「気」たちとの、のびやかな交歓の記録。

こういった、静かにじわじわと流れていくような感覚は好きです。薄いので結構すぐ読んでしまった。ちょっと前の時代の空気にとてつもなく弱いので、出てくる単語やイメージにいちいち桃色吐息つきながら楽しませてもらいました。主人公の綿貫さんが、非常に親しみやすいというか、ダメな部分とかがあって、そんな部分に思わず和まされることもあって、一昔前という設定だったんですけどそんなにとっつきにくい風でもなかったです。最初は自分にとって棚ボタな話で受けた家番なのに、住んでいく内になんだかんだいいながらいろんな植物や生き物の世話を焼いちゃうあたりとか超和む。長虫屋が絡んでる話が好きでした。